まず試したい方向け:この式を使って、景品の種類数・1個あたりの価格・現在集まっている種類数から、コンプリートまでの期待金額を計算できる便利ツールも作りました。
お菓子を1つ買うごとに、10種類のキャラクターのうちどれか1つがランダムで出る。 しかも、どのキャラクターが出る確率も同じだとします。
このとき、全種類をそろえるには平均でいくらかかるのか? 一見すると「運しだい」で計算できなさそうですが、実は高校数学レベルの確率の考え方で、かなりすっきり説明できます。
この記事でわかること
- なぜ平均額が計算できるのか
- なぜ最後の1種類がなかなか出ないのか
- 期待金額がどんな式で表せるのか
1. まず「期待値」とは何か
ここでいう期待値とは、同じ条件で何度も最初からやり直したときの、 平均的な回数や平均的な金額のことです。
たとえばサイコロを1回振ると、1〜6のどれが出るかは毎回違います。 でも何度も振ると、出る目の平均はだいたい \(3.5\) に近づきます。
景品集めも同じで、
- あるときは運よく早くそろう
- あるときは同じものばかり出て時間がかかる
というばらつきはありますが、何度も繰り返したときの 平均的な必要回数は計算できます。
2. 今回の設定
話をシンプルにするため、次の条件を置きます。
- 景品は全部で \(10\) 種類
- 1回買うたびに、そのうちどれか1種類が出る
- どの種類も同じ確率で出る
- お菓子1個の値段は \(300\) 円
知りたいのは、全10種類をそろえるまでの
- 期待購入回数
- 期待金額
です。
3. ポイントは「次の新キャラが出るまで」に分けること
この問題のコツは、「全部そろうまで」を一気に考えないことです。 代わりに、1種類増えるごとに分けて考えます。
たとえば、次の10段階に分けます。
- \(0\)種類 → \(1\)種類目を手に入れるまで
- \(1\)種類持っている → \(2\)種類目を手に入れるまで
- \(2\)種類持っている → \(3\)種類目を手に入れるまで
- \(\cdots\)
- \(9\)種類持っている → \(10\)種類目を手に入れるまで
こうして分けると、各段階で「新しい種類が出る確率」がはっきり見えるようになります。
4. 最初の1種類は必ず新しい
最初はまだ何も持っていません。したがって、1個買えば必ず新しいキャラクターが出ます。
つまり、最初の1種類を手に入れるまでの必要回数は必ず1回です。
5. 2種類目は「10回に9回」新しい
次に、すでに1種類持っているとします。このとき、
- すでに持っている種類:1種類
- まだ持っていない種類:9種類
です。したがって、次に買ったとき新しい種類が出る確率は
になります。
ここで使うのが、成功確率が \(p\) の試行で 「はじめて成功するまでにかかる回数」の期待値は
になる、という考え方です。
したがって、2種類目を得るまでの期待回数は
回です。
6. 3種類目、4種類目も同じ
すでに2種類持っているなら、まだ持っていないのは8種類なので、 新しい種類が出る確率は
です。したがって、その次に新しい種類を得るまでの期待回数は
回です。
同じように、すでに \(k\) 種類持っているとき、 まだ持っていない種類は \(10-k\) 種類です。 したがって、新しい種類が出る確率は
となり、次の新しい1種類を得るまでの期待回数は
です。
7. 全部そろうまでの期待購入回数
以上を全部足せば、全10種類をそろえるまでの期待購入回数 \(E[T]\) は
となります。
10をくくると、
です。
この
の部分を計算すると、
なので、期待購入回数は
回です。つまり、平均すると約29.3回買う必要があります。
8. 期待金額は約8,800円
お菓子1個の値段は \(300\) 円なので、期待金額は
円です。
したがって、全10種類をそろえるための期待金額は
となります。
9. なぜ思ったより高いのか
「10種類なら、10個くらい買えばそろいそう」と感じるかもしれません。 しかし実際には、平均で約29.3個必要です。
理由は、最後の数種類が集まりにくいからです。
たとえば9種類そろった状態では、残り1種類しか未入手のものがありません。 このとき新しい種類が出る確率は
しかありません。したがって、最後の1種類を手に入れるまでの期待回数は
回にもなります。
最後の1種類だけで平均10回かかる、と考えると、 コンプが意外と大変な理由が直感的にわかります。
10. 一般の形で書くとどうなるか
全体が \(y\) 種類、1個の値段が \(x\) 円、すでに \(z\) 種類持っているとします。 このとき残りは \(y-z\) 種類です。
残りをそろえるまでの期待購入回数は
と書けます。したがって期待金額は
です。
今回の例では \(x=300,\ y=10,\ z=0\) なので、
となります。
11. この金額は「必ずそうなる額」ではない
ここで出てきた金額は、あくまで期待値です。 つまり「必ずこの金額になる」という意味ではありません。
- かなり運がよければもっと安くそろう
- 運が悪いと1万円を大きく超える
期待値は、同じ挑戦を何度も繰り返したときの 平均的な目安を与えてくれるものです。
12. まとめ
景品コンプリートの期待金額は、難しい数学を使わなくても、
- 「次の新しい種類が出るまで」に分ける
- 各段階での成功確率を考える
- 期待回数を足し合わせる
という流れで理解できます。
10種類・1個300円なら、期待購入回数は
なので、期待金額は
です。運しだいに見える景品集めも、平均という視点で見ると、 意外ときれいな数式で説明できます。

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