お菓子の景品を全部そろえるには平均いくら?

まず試したい方向け:この式を使って、景品の種類数・1個あたりの価格・現在集まっている種類数から、コンプリートまでの期待金額を計算できる便利ツールも作りました。

▶ コンプリート期待金額の計算ツールはこちら

お菓子を1つ買うごとに、10種類のキャラクターのうちどれか1つがランダムで出る。 しかも、どのキャラクターが出る確率も同じだとします。

このとき、全種類をそろえるには平均でいくらかかるのか? 一見すると「運しだい」で計算できなさそうですが、実は高校数学レベルの確率の考え方で、かなりすっきり説明できます。

この記事でわかること

  • なぜ平均額が計算できるのか
  • なぜ最後の1種類がなかなか出ないのか
  • 期待金額がどんな式で表せるのか

1. まず「期待値」とは何か

ここでいう期待値とは、同じ条件で何度も最初からやり直したときの、 平均的な回数や平均的な金額のことです。

たとえばサイコロを1回振ると、1〜6のどれが出るかは毎回違います。 でも何度も振ると、出る目の平均はだいたい \(3.5\) に近づきます。

景品集めも同じで、

  • あるときは運よく早くそろう
  • あるときは同じものばかり出て時間がかかる

というばらつきはありますが、何度も繰り返したときの 平均的な必要回数は計算できます。

2. 今回の設定

話をシンプルにするため、次の条件を置きます。

  • 景品は全部で \(10\) 種類
  • 1回買うたびに、そのうちどれか1種類が出る
  • どの種類も同じ確率で出る
  • お菓子1個の値段は \(300\) 円

知りたいのは、全10種類をそろえるまでの

  • 期待購入回数
  • 期待金額

です。

3. ポイントは「次の新キャラが出るまで」に分けること

この問題のコツは、「全部そろうまで」を一気に考えないことです。 代わりに、1種類増えるごとに分けて考えます。

たとえば、次の10段階に分けます。

  • \(0\)種類 → \(1\)種類目を手に入れるまで
  • \(1\)種類持っている → \(2\)種類目を手に入れるまで
  • \(2\)種類持っている → \(3\)種類目を手に入れるまで
  • \(\cdots\)
  • \(9\)種類持っている → \(10\)種類目を手に入れるまで

こうして分けると、各段階で「新しい種類が出る確率」がはっきり見えるようになります。

4. 最初の1種類は必ず新しい

最初はまだ何も持っていません。したがって、1個買えば必ず新しいキャラクターが出ます。

\[ 1 \]

つまり、最初の1種類を手に入れるまでの必要回数は必ず1回です。

5. 2種類目は「10回に9回」新しい

次に、すでに1種類持っているとします。このとき、

  • すでに持っている種類:1種類
  • まだ持っていない種類:9種類

です。したがって、次に買ったとき新しい種類が出る確率は

\[ \frac{9}{10} \]

になります。

ここで使うのが、成功確率が \(p\) の試行で 「はじめて成功するまでにかかる回数」の期待値は

\[ \frac{1}{p} \]

になる、という考え方です。

したがって、2種類目を得るまでの期待回数は

\[ \frac{1}{9/10}=\frac{10}{9} \]

回です。

6. 3種類目、4種類目も同じ

すでに2種類持っているなら、まだ持っていないのは8種類なので、 新しい種類が出る確率は

\[ \frac{8}{10} \]

です。したがって、その次に新しい種類を得るまでの期待回数は

\[ \frac{1}{8/10}=\frac{10}{8} \]

回です。

同じように、すでに \(k\) 種類持っているとき、 まだ持っていない種類は \(10-k\) 種類です。 したがって、新しい種類が出る確率は

\[ \frac{10-k}{10} \]

となり、次の新しい1種類を得るまでの期待回数は

\[ \frac{1}{(10-k)/10}=\frac{10}{10-k} \]

です。

7. 全部そろうまでの期待購入回数

以上を全部足せば、全10種類をそろえるまでの期待購入回数 \(E[T]\) は

\[ E[T] =1+\frac{10}{9}+\frac{10}{8}+\cdots+\frac{10}{1} \]

となります。

10をくくると、

\[ E[T] =10\left(1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\cdots+\frac{1}{10}\right) \]

です。

この

\[ 1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\cdots+\frac{1}{10} \]

の部分を計算すると、

\[ 1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\cdots+\frac{1}{10}\approx 2.928968 \]

なので、期待購入回数は

\[ E[T]\approx 10\times 2.928968=29.28968 \]

回です。つまり、平均すると約29.3回買う必要があります。

8. 期待金額は約8,800円

お菓子1個の値段は \(300\) 円なので、期待金額は

\[ 300\times 29.28968 \approx 8786.9 \]

円です。

したがって、全10種類をそろえるための期待金額は

\[ \boxed{\text{約 }8,800\text{ 円}} \]

となります。

9. なぜ思ったより高いのか

「10種類なら、10個くらい買えばそろいそう」と感じるかもしれません。 しかし実際には、平均で約29.3個必要です。

理由は、最後の数種類が集まりにくいからです。

たとえば9種類そろった状態では、残り1種類しか未入手のものがありません。 このとき新しい種類が出る確率は

\[ \frac{1}{10} \]

しかありません。したがって、最後の1種類を手に入れるまでの期待回数は

\[ \frac{1}{1/10}=10 \]

回にもなります。

最後の1種類だけで平均10回かかる、と考えると、 コンプが意外と大変な理由が直感的にわかります。

10. 一般の形で書くとどうなるか

全体が \(y\) 種類、1個の値段が \(x\) 円、すでに \(z\) 種類持っているとします。 このとき残りは \(y-z\) 種類です。

残りをそろえるまでの期待購入回数は

\[ E[T]=\sum_{k=1}^{y-z}\frac{y}{k} \]

と書けます。したがって期待金額は

\[ \boxed{ E[\text{費用}] = x\sum_{k=1}^{y-z}\frac{y}{k} } \]

です。

今回の例では \(x=300,\ y=10,\ z=0\) なので、

\[ E[\text{費用}] = 300\sum_{k=1}^{10}\frac{10}{k} \]

となります。

11. この金額は「必ずそうなる額」ではない

ここで出てきた金額は、あくまで期待値です。 つまり「必ずこの金額になる」という意味ではありません。

  • かなり運がよければもっと安くそろう
  • 運が悪いと1万円を大きく超える

期待値は、同じ挑戦を何度も繰り返したときの 平均的な目安を与えてくれるものです。

12. まとめ

景品コンプリートの期待金額は、難しい数学を使わなくても、

  • 「次の新しい種類が出るまで」に分ける
  • 各段階での成功確率を考える
  • 期待回数を足し合わせる

という流れで理解できます。

10種類・1個300円なら、期待購入回数は

\[ 10\left(1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\cdots+\frac{1}{10}\right)\approx 29.3 \]

なので、期待金額は

\[ \boxed{\text{約 }8,800\text{ 円}} \]

です。運しだいに見える景品集めも、平均という視点で見ると、 意外ときれいな数式で説明できます。

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